”まさかの実写映画化”
帯の文言に興味をそそられて購入
タイトルと、なんかミステリなんでしょってことは知っていましたが、実際に読んでみて下馬評通りおもしろすぎる小説でした。何故もっと早く手に取っていなかったのか
感想(ネタバレなし)
綾辻行人作『十角館の殺人』
孤島に建つ、正十角の形をした「十角館」で次々と殺人が行われていく、いわゆるクローズドサークルものです
犯人候補が徐々に絞られていくはずなのに、トリックが全く見破れないので、「犯人はこの中にいるのか?」「やっぱ外部から来た奴なのか?」ずーっと二転三転して最後までドキドキ感がありました
本のカバーにも書いてある「あの1行」
物語にのめり込んでいた人ほど、ここで「は?どういうこと?」と、とんでもない衝撃が走るわけです
が、私の場合ちょっと違ったんですね。。
「ここ大事なポイントですよ!」という雰囲気がその数行前から醸し出されていたので、「ああ、重要な行なんだな」と気づいて立ち止まってはみたものの、「……なんだっけ、これ」とあろうことかなんにも理解できなかったのです
そしてその次の数ページを読んで違和感に気づき、もっかい戻って「この行じゃん!!」と二度見で初めて新鮮な驚きと猛烈な恥ずかしさを味わいました
当時風邪引いててそこそこ分厚い小説を一気読みしたせいか、脳が処理落ちしていたのかもしれませんが、何故こうなったか今でもよくわかりません。読書中最大のミステリーです
でも、私のように一旦スルーしても叙述トリックの巧みさにはえらく驚嘆してしまったので、どこを切り取っても面白いミステリー小説に仕上がっているのだと思います
また、孤島に閉じ込められるのは全員大学のミステリ研究会の人たちで、彼らは「ミステリー作家」から取ったニックネームでお互い呼び合っています(アガサとか、エラリイとか)
私はミステリー作家詳しくないので知らない名前だらけなんですが、それでも各人の個性の描き方が巧みですぐにニックネームとそいつがどんな奴なのかが頭に入って、非常に読みやすかったです。しかもこれが後々効いてくるという……
もう一回読み直すと、あれもこれも伏線だったのかとまた違った驚きを味わえると思います
十角館の殺人好きな人ならこの小説もおもしろいはず
十角館の殺人みたいな他の作品も読みたい!人向けにいくつかおすすめを紹介します
まだ読んだことない人は次選ぶ書籍としてぜひ
アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』
有名すぎて語るまでもないですが、私はこの小説を十角館の殺人の後に読んでみました
昔の小説だし名前だけは皆知ってるような有名作品だし、どこかでトリック見破れちゃうかもな~と高をくくっていたのですが、本当に誰もいなくなっちゃって「え?犯人は?」と結局ラストまで何も見破れませんでした。恥の多い人生です
クローズドサークルでシチュエーションは似ているけど、仕掛けとか全く違うので十角館の殺人とはまた違った衝撃を受けました
登場人物が頭に入ってきやすい点も共通で、外国の小説ってちょっと読みづらいものもあったりしますが、展開も早くて非常に読みやすい作品でした
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』
こちらは”1行の衝撃”を味わえる作品です
最後の1行で全部ひっくり返るので、「は?」と思って思わず最初の方パラパラと読み返してしまうほど動揺しました
あんまり冴えない男が可愛い子といい感じになって~という純愛を追っかける系かと、(最後に何かあることも忘れ)恋愛物と思って読み進めていた分、すごく騙された気分を味わいました
この作品も実写化不可能と言われていたのに、実写化してましたね
絶対無理だと思ったのですが、どんな仕上がりになったのか実写映画の方も気になりますね
杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』
こちらもタネ明かしでとんでもない衝撃を受けました。こんな仕掛けは見たことがないです
実写化不可能の文言につられて読んでみましたが、これはさすがに絶対無理でしょうって思うはず
余計なことは言いたくないので、とにかく読んでみて下さい
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